人形豆知識|威(おどし)の種類
鎧兜を探していると、「~威(おどし)兜飾り」等、名前に「威」という単語が入っているものがよくあります。普段は使わない単語ですので、威と聞いてもあまりピンとこない方が多いのではないでしょうか。
ここでは、威の説明と、五月人形の鎧兜でよく見かける、代表的な威をご紹介いたします。
威(おどし)とは?
威とは、鎧兜の小札(こざね)板を、革や糸などの緒で上下に結び合わせることです。糸を用いたものは「糸威(いとおどし)」、鹿革を用いたものは「革威(かわおどし)」と呼ばれます。
主な威の種類
威には、当時の武将がファッションセンスを競っていたことを思わせる、実に様々な模様があります。
沢瀉威(おもだかおどし)
沢瀉(おもだか)とは、いろいろな色糸を使用し、三角形に編んだものです。オモダカという植物の葉の形に由来します。
赤皮威(あかがわおどし)
糸ではなく、赤い皮を用いた威です。
緋威(ひおどし)
その名の通り、緋色の糸を用いた威です。赤色と比べると、緋色はただの赤でなく、黄色みがかった色をしています。
赤糸威(あかいとおどし)
赤い糸を用いた威です。緋威よりも黄色味のない、「より赤色らしい色」をしています。使う色が違えば、「白糸威」「黒糸威」「紅威」など、その色の威名になります。
小桜皮威(こざくらがわおどし)
なめした鹿革に小さな桜を一面に染めた威です。色糸を使った威に比べて、モノトーンでシックな雰囲気をしています。
裾濃威(すそごおどし)
上を白として、下へ行くにつれて濃い色になっていく、グラデーションを表現した威です。画像の威は、白から紫へ変化しているので、紫裾濃威(むらさきすそごおどし)と呼ばれます。